雨上がりの青空を長い足で飛び越して、あいつは僕を振り返る。
「シンジ君もほら」
僕も勢いを付けて空の上をジャンプ。だけど白い雲の端っこを踏んだ。
”パシャ!”
途端にその大きな水溜まりは、映した青空が壊れてぐしゃぐしゃ。僕は制服のズボンの裾に空のお裾分けを点々と飛ばして声を上げた。
「あー!ズボンがー!」
「あは。シンジ君のたんそくー」
「なにおう!」
向こう岸に着いた僕は、笑いながらからかうあいつの指に自分の指を絡める。絡め返して水溜まりを眺めるあいつ。
僕が壊した青空は、地面の上で早くも再生する。空も雲も元通りだ。
「むふ」
あいつは眼を細め、繋いだ指に力を込める。そして太陽みたいに真っ赤な瞳をこちらに向け、僕を未来へと誘った。
「行こっか」
うん。
行くのはきっとこの道の続き。時折手を離してもまた繋ぎ直して。
空さえも飛び越して、何度でも。
END.