僕のファーストキス?の相手は渚カヲル。
次のキスも、その次のキスも、キスは全部、渚カヲル。
「僕、別に男が好きなわけじゃないのになぁ」
「何それ?」
「……はぁ」
頬に散々キスの嵐を受けながら、僕は深々と溜め息をついた。
「僕は基本的に女の子が好きだってこと」
男とキスするなんて僕の本質としては不本意なんだよ。そう言って頬をついばむ渚を寄り目で睨んだ。
「今だって、この子いいな、って思うのは女の子ばかりだし」
「ふぅん。じゃあ僕は特別なんだ?」
渚は寄り目の僕を寄り目で見返して、
「それってイイよね」
頬から唇を離した。
「口にして良い?」
「……どーぞ」
ちゅ。
ちゅ、としてから、ぷちゅ、と唇を当て直して、渚はほにゃほにゃと笑う。
「特別って最高」
嬉しそうに猫目になった。僕はそんな渚を寄り目のまま眺めて、
(僕ってこのまま一生女の子とキス出来ないのかなぁ)
なんて考えて我に返り、
(お、おいおい!一生って何だよ一生って!一生こいつといるつもりかよ!)
と、自分で自分に突っ込みを入れた。
「何赤くなってんの?」
「べ、別にっ?」
「何考えてんのさ?」
「別にったら!」
ちゅー。
「むふ」
「……」
もう一度溜め息ついとくかな。照れ隠しで。
END.